研究室から
ガラス
組織培養研究室
pp.218-219
発行日 1959年8月15日
Published Date 1959/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906090
- 有料閲覧
- 文献概要
赤や青に,更に白い反射光とにキラキラと輝く細かで精巧で複雑に刻まれたカツトグラス,或いは無色で透明な白いガラスだけのカツトの容,サンドブラストで曇らされて模様が描かれているもの等,ガラス工芸品の美しさには何時まで眺めていても飽きない美しさがある。光の透過と屈折と反射との応用だけだとはとても信じられない美しさがある。華やかな宴席に飾られ美しい花が添えられる。或いは御馳走が盛られ世界の美酒が注がれる。何と云つても派手な存在だ。
ひるがえつて我々が日常,実験に使用しているガラスは本質的には同じものなのに何と云う地味な目立たない存在だろう。この無色で透明で内部がよく見えて,熱にも強く化学薬品にも強いガラスと云うものがなかつたら,光学器械や化学実験のことには触れないで組織培養にだけに限つてしまつてもその不便さは想像に余るものがある。回転培養試験管,カレル瓶,ポーター瓶,カヴアーグラス,マキシモフ用窪みガラス,ペトリーシヤーレ,時計皿,ピペット,遠心沈澱管等々算えあげればきりがないほどのものがこの性質の恩恵を受けている。
Copyright © 1959, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.