特集 患者負担のあり方を考える―フリーアクセスから選択責任へ
医療費の財源問題に関する考察―患者負担のあり方を考える
尾形 裕也
1
1九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座
pp.542-545
発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100967
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに―問題の所在
公的皆保険制度を採用している日本における医療費の財源は,大別すれば,社会保険料,公費,患者負担ということになる.これらの財源は,いずれにせよ最終的には「国民の負担」であるということがよく言われる.最終的な負担の帰着という観点からは,確かにその通りであるが,こうした「国民全般」というとらえ方では,患者負担問題の本質を的確に把握することはできない.提供される医療サービスに対して,被保険者(保険料),一般国民(租税=公費),患者(患者負担)という各主体の関わりはそれぞれ異なっており,その負担の意味も異なっている.患者負担については,特に,医療サービスの直接的な受益者としての「受益者負担」という観点が重要である.本号の特集は「患者負担のあり方を考える」というテーマであるが,本稿においては,この問題について,主として医療費の財源問題という視点から,種々の考察を行うこととしたい注1).
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.