基礎から応用へ
寄生適応・2
大家 裕
1
1順大・寄生虫
pp.21-24
発行日 1975年10月1日
Published Date 1975/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200885
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現存する生物は,すべて自分を取り巻く環境に何らかの形で適応しながら存在している.このような適応が成立してゆく進化の過程では,環境に適応しえず姿を消していった数多くの種類の生物があったであろう.我々は,寄生現象もこの適応によって達成された生物の存在形態として考えを進めてきたのであるが,寄生虫にとって外環境である宿主の内環境は,自由生活生物の外環境とはまた変わった環境である.寄生虫を非自己と認めた宿主は,様々な免疫生物学的攻撃をしかけてくるであろう.この攻撃を寄生虫がいかにかわしているか.前回は住血吸虫について,住血吸虫の成虫体が宿主抗原を身につけて,宿主抗体の攻撃をかわしている実体を知った.今回は,熱帯地域における住血性原虫のトリパノソーマについて,その仕組みを見てみよう.
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