基礎から応用へ
寄生現象・2
大家 裕
1
1順大・寄生虫
pp.21-24
発行日 1975年6月1日
Published Date 1975/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200800
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
寄生生物がその棲み家として選ぶ相手の生物は決してどんな生物でもよいというわけではなく,そこには長い進化の歴史によって関係づけられた宿主特異性というものがあることは既に述べた.また,寄生生物と宿主の間に寄生し寄生されるという関係が成り立つ第一の条件は,双方の生物が同一の生態系内に存在する生物種でなければならないことも既に理解したところである.そして,寄生虫が首尾よく宿主体内に入り込むことができたとしても,そこが宿主という別の生物の体内であるため,自由生活を営んでいる生物にとっては致命的となるような様々な障害が,寄生虫の生存に対する制約として存在していることは容易に考えられる.つまり,寄生虫とはこのような制約の中で生存する方法を身につけ得た生物種なのであり,このことを寄生虫の宿主に対する寄生適応と言っている.これからこの問題を見てゆくわけであるが,今回は,その際,ぜひとも知っておかねばならぬ免疫学的な知識について概説をしておきたいと思う.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.