病人と病気と病院
日本の医療—その中における検査技師
砂原 茂一
1
1国立療養所東京病院
pp.12-15
発行日 1975年3月1日
Published Date 1975/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200724
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検査技師と医療
検査技師は医療チームの一構成員と考えられる.このことは疑うことのできない自明の事柄だが,現代医療の中におけるその位置づけは,簡単ではないように思われる.
医療の"顔"は病室や診療室であるとすれば検査技師の職場とは大変離れている.その意味では検査技師は医療の裏方であるといってもいいように思われる.縁の下の力持ち的存在である.しかし臨床検査は今日の医療の最も強力な支柱であり,臨床検査からの情報から遮断されたとしたら,医療の舞台の主役であるはずの医師が身動きもできないのが実情であろう.その意味では検査技師は歌舞伎の小道具師ではなくて,ある意味では人形劇の操り師であるといっていいかもしれない.実際医師は検査室からの情報のまにまに踊らされている趣がないでもないだろう.そのうえ診療点数中に占める検査の比重が近来ますます大きくなってきたから,その意味でも検査技師の医療の中での発言力が強くなるのは当然であるといえるかもしれない.それだけに臨床検査に携わっている人たちは医療についての正しい認識を持つ必要が大きいように思われるのである.
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