基礎から応用へ
ヒトの生物学・3
佐藤 やす子
1
1横浜市大・第2解剖
pp.24-27
発行日 1975年2月1日
Published Date 1975/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200699
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1.メンデルの法則
エンドウで交配実験を行ったメンデルは,ここから親の形質が子に現れるという現象には,一般的な法則性があることを発見した.この法則をメンデルの法則(Mendel's law)という.これは優劣の法則,分離の法則ならびに独立の法則から成り立っていて,親の形質が子へ伝えられる現象が,この法則に基づいて説明されている.メンデルが行った多くの交雑実験のうちから例をあげて説明する.
エンドウのマメの形と色の現れ方,たとえば種皮の黄色(Y)と緑色(g),また形が丸い(R)マメと角ばってしわがある(w)マメというような対立する形質を取り上げて,これにだけ注目して交雑実験の結果をみると,F1に現れる形質はどれも黄色くて丸い形のマメであって,両親(P)が持っていたもう一方の形質つまり,"緑色としわがある"という形質が子(F1)では現れてこない.すなわち,Pが持っている遺伝形質のうちには,F1では表現されないものがあることになる.このような場合,F1において表現された形質を優性形質(dominant trait),表現されなかったほうを劣性形質(recessive trait)と呼んだ.
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