ひとこと
臨床検査の基本
木島 滋二
1
1北野病院内科
pp.10-11
発行日 1975年2月1日
Published Date 1975/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200694
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科学について
臨床検査は"数"を取り扱う."数を生み出す"といってもよい.血液とか尿とか,その他いろいろな検体について,定められた方法に従って処理をし,測定をして数値を出す.時には数値ではなくて(+)か(-)かを定性的に決めればよいものもあるが,これとても1または0を出していることになるからやはり数値といえる.このようにして数値を出すことが科学的な診療の基礎となるのである.
ここでまず科学とはどういうことかについて考えてみよう.私どもは自然現象を五感により見たり感じたりすることができる.それを繰り返すことにより経験が増えてゆくのだが,特に注意をしない時は見過ごしていることも多い.しかし,時にはオヤと思うこともある.この時は好奇心にまかせて"いったいどうなっているのか"と丁寧に観察をする.そうしていくつかの特徴をつかむ.この段階が科学の第一歩である.しかしここまではまだ主観的なものであって,その人一人の経験にすぎない.
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