増刊号 超音波×病理 対比アトラス
2章 乳腺
8 顆粒細胞腫―60歳代男性
森谷 卓也
1
,
中島 一毅
2
1川崎医科大学病理学2
2川崎医科大学総合外科学
pp.949-951
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104412
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症例の概要
60歳代,男性.数年前から左乳房のしこりに気付いていた.4年前に穿刺吸引細胞診→図1と針生検で顆粒細胞腫(granular cell tumor)と診断された.悪性所見がないため経過をみていたが,今回摘出を希望され,手術が行われた.超音波検査Bモードでは,1時方向に12mm長径で多角形の腫瘤像を認め,周囲に構築の乱れを伴っていた.また,腫瘍周囲脂肪組織内にhalo様の像が存在し,悪性腫瘍が強く疑われた→図2.エラストグラフィでは,周囲より比較的硬い領域が認められるが,硬癌や浸潤性小葉癌に比べると比較的軟らかい印象であった→図3.また,ドプラ像ではこのサイズの悪性腫瘍にしてはほとんど血流が認められなかった→図4.病歴と合わせ,良性腫瘍や乳房内の器質化反応の可能性もあるが,画像上は癌を否定できない像であった.
摘出標本では,脂肪組織と混在し境界が不明瞭な,12mmの白色充実性腫瘍であった→図5.組織学的には好酸性で顆粒状の豊富な胞体を有する腫瘍細胞が小胞巣を形成し増殖していた→図6.核は小型で異型に乏しく,異型はみられなかった.腫瘍細胞は免疫染色でS-100蛋白が陽性を示した→図7.
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