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あとがき
新年を迎えて1カ月が経とうとしています.いかがお過ごしでしょうか.昨年末に医療の質安全学会に参加して,患者に質の高い安全な医療を提供するには,医療従事者から患者への説明のみではなく,患者からの情報提供の重要性を感じました.例えば,医療従事者は外来採血で,①1回の穿刺で必要量が採血できないこと,②あるいは,血液が凝固した場合は再度,採血をすること,③稀に採血に伴う合併症が起きることとその頻度,を説明することが望ましいのですが,一方,患者から,①以前の採血で気分が悪くなったこと,②強い痛みを感じたこと,③アレルギー症状が出たこと,などを教えてもらうことは,採血に伴う合併症を減らすために重要です.さらに,これらの情報を病院間で共有するための医療の体制作りの検討がされていました.医療従事者と患者はそれぞれ立場に違いはありますが,お互いがデータを共有することで質の高い安全な医療を提供することできるとあらためて思い知りました.
もちろん,質の高い医療を提供するために,われわれが異常値を見落とさないことは必須です.本号の“過去問deセルフチェック”欄の血小板値が低値に測定される症例や,“ピットフォール”欄の免疫グロブリンのサブクラスの違いで異常値になる症例などは,知識として持っていても,自動分析装置で多数検体を日常的に処理していると見逃してしまいます.また,ABO血液型のオモテ検査とウラ検査の不一致症例の血液型判定は非常に重要です.どのような手順で正しい血液型を判定し,適切な輸血を選択するか.今一度,本号の掲載内容で復習し,実践できる確実な知識を身に付けていただけるとよいと思います.なお,ABO血液型の亜型検査の“技術講座”では,第2回以降で,亜型を確定するための詳細な検査法を解説していただく予定です.
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