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今年は3月11日に東日本大震災が発生,それに伴う原発のトラブル,節電対策,さらに例年になく梅雨が早く明け,7月からは各地で猛暑が続き,水不足問題も心配しました.しかし,今は一変,長期滞在型台風の大雨に見舞われています.今年は,自然の脅威への対処と同時に,危機管理の重要さを実感しています.世の中には絶対安全なものはなく,われわれは絶対に誤りを起こしうるということを念頭に置き,それぞれの検査部門での危機管理体制を構築して,患者サービスの向上に努める必要があります.すなわち,トラブルや過誤には二重,三重の対策を考え,患者負担の軽減として待ち時間の短縮や採血量の削減を行い,正確かつ迅速な検査を無駄なく効率的に行うことです.今月号の“ワンポイントアドバイス”では,採血室の安全管理をテーマに取り上げています.また,免疫血清検査は,生化学・血液検査に比較して結果報告までの所要時間が長く,必要検体量も多い問題があります.最近,高感度,短時間,少量検体とイムノアッセイ法の問題点を克服した新しい検査法が開発されたので,“Laboratory Practice”に紹介しています.さらに“Laboratory Practice”には,2010年7月に改正臓器移植法が施行され,脳死移植体制が整備されつつありますので,今月号から臓器移植に必要な検査項目を取り上げて連載する予定でおります.前号でも脳死臓器移植に対応するための輸血供給体制を掲載しました.また,新連載として“臨床検査のピットフォール”欄を設けて,毎月各検査分野でテーマを取り上げ,間違った結果解釈が誤った判断にならないための解説を行っています.
いずれも,編集委員会で知恵を出して,読者の皆様が興味をもって熟読いただける内容を検討して,テーマを決めて執筆をお願いしたものです.節電で暑い夏を過ごされたでしょうが,まもなく爽やかな秋を迎えられるでしょう.ぜひこの内容を一読して,役立てていただきたいと思います.
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