Laboratory Practice 〈微生物〉
Cryptococcus gattii感染症
渡辺 哲
1,2
,
亀井 克彦
1,2
1千葉大学真菌医学研究センター
2千葉大学医学部附属病院感染症管理治療部
pp.282-285
発行日 2013年4月1日
Published Date 2013/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103896
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はじめに
Cryptococcus gattiiはC. neoformansと並びクリプトコックス症の主要な原因真菌である.C. neoformansが世界規模で分布しているのに対し,C. gattiiは従来オセアニア,東南アジアなど,熱帯・亜熱帯地域に限局して棲息すると考えられてきた1).また自然界での棲息場所は不明な点が多いが,C. neoformansのようにハトなどの鳥類の糞中には棲息しておらず,ユーカリなどの樹木およびその周囲の土壌とされてきた2).しかし1999年以降,カナダ・ブリティッシュコロンビア州のバンクーバー島での感染症多発事例を皮切りに北米太平洋岸地方を中心に発生地域が急速に拡大していることが報告されている3).両菌種による病像は一見類似しているが,治療法を中心に相違点も多く,正しく鑑別することが必要である.診断にあたっては渡航歴の聴取,培養検査などが重要である.なお,少数ながらわが国においても渡航歴のないC. gattii感染症は報告されていることに注意すべきである4).
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