臨床医からの質問に答える
試験紙法はどの製品でも同じですか?
菊池 春人
1
1慶應義塾大学医学部臨床検査医学
pp.143-146
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103849
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はじめに
厳密にいえば試験紙法は尿検査に限らないが,最も一般的なのが尿試験紙検査であるので,ここでは尿試験紙について述べる.この質問は「尿試験紙は標準化されているか」と言い換えることができると思われるが,これには二つのレベルがあると思われる.一つは臨床化学検査における日本臨床化学会の勧告法のように試験紙法の各項目の試薬組成が標準的なもので統一されているか,という質問であるという解釈である.これについては“No”ということになる.例えば,代表的な尿試験紙項目である蛋白はpH指示薬の蛋白誤差を測定原理とするが,そのpH指示薬としてテトラブロモフェノールブルー(tetrabromophenol blue,TBPB)を用いているものが大部分ではあるが,一部別の指示薬を用いている試験紙もある.
もう一つのレベルは試薬,反応原理は異なっていても,同じ尿検体を測定したときに同じ結果が得られる,という意味で「同じ」かどうかという解釈である.これについては一言で述べると,「蛋白,ブドウ糖,潜血の1+については国内の試験紙で標準化されているが,他のランクおよび他の項目については標準化されておらず,同じとはいいにくい」ということになる.以下尿試験紙の標準化についてかかわっている立場から(後述)その経緯と現状を述べていきたい.
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