Laboratory Practice 〈一般〉
蛋白誤差を利用した尿蛋白質定性検査における偽陽性の分光光度法による識別
鈴木 優治
1
1埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科
pp.131-134
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103846
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
試験紙法による尿蛋白質定性検査は,簡便に実施できることから,広く普及している.しかし,検査成績に影響を及ぼすさまざまな妨害物質の存在が知られている1,2).特に試験紙法による尿蛋白質の検出原理である蛋白誤差による発色は,pH依存性を示すため3),試験紙法による尿蛋白質測定は検出系pHを一定に保持して行われる.しかしpH3.0に調整されている検出系pH4,5)は,生理的変動範囲がpH4.6~7.8の尿に試験紙を浸漬した場合には,尿試料によってはアルカリ側にずれる.検出系pHの上昇は,発色試薬自身の発色を増加させるために偽陽性の発生につながる6).アルカリ尿では偽陽性が発生しやすくなり7,8),偽陽性が疑われるときには,試験紙上の発色が蛋白質によるものであるかどうかを識別する必要がある.偽陽性を確認する方法としてスルホサリチル酸法4,7)があるが,この方法にも判定に影響する妨害物質が存在する1).本稿では,試験紙上の発色が蛋白質によるものであるのか,それとも共存成分による検出系pHの上昇によるものかをブロムフェノールブルー(bromphenol blue,BPB)試薬を用いて分光学的に確認する方法9)について解説する.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.