Laboratory Practice 〈微生物〉
肺炎球菌の迅速抗原検査
佐藤 智明
1
1山形大学医学部附属病院検査部
pp.814-817
発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103648
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はじめに
肺炎は,悪性新生物,心疾患,脳血管疾患に次いで日本人の死因順位第4位の重要な疾患であり,肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は市中肺炎の原因菌分離頻度の約25~30%を占める最も検出頻度の高い肺炎の原因菌である1,2).
肺炎球菌性肺炎は重症化しやすく,治療には適切な抗菌薬療法の早期開始と全身管理が必要であり,医師はグラム染色や抗原検査が陽性であれば積極的に特異的な治療を開始する3).そのために原因菌を迅速に報告することが臨床検査室に求められる.従来から感染症の原因菌推定の迅速検査としてグラム染色が用いられ,呼吸器感染症の原因菌推定に喀痰のグラム染色は優れた検査法として評価されている(図1).しかし,グラム染色は感度がやや低いことや原因菌の推定には熟練を要するという欠点がある.
近年,イムノクロマト法を用いた簡便,迅速な検査法が多くの検査室で実施されるようになった.本稿では,肺炎球菌尿中抗原検査法であるBinax NOW®肺炎球菌(アリーアメディカル)および,喀痰または上咽頭ぬぐい液からの肺炎球菌抗原検出検査法のラピラン®肺炎球菌(大塚製薬)を中心に解説する.
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