臨床医からの質問に答える
輸血関連B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus,HBV)感染(疑い)症例とは
平 力造
1
,
百瀬 俊也
1
1日本赤十字社血液事業本部安全管理課
pp.1104-1107
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102969
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■背景
1 . わが国における輸血後肝炎の歴史とB型肝炎関連検査
輸血後感染症として社会的に問題となったものは“黄色い血のキャンペーン”に代表される輸血後肝炎であり,その発症率の推移1)は売血時代が約50%であった.このような背景のなかで,1964年3月ライシャワー駐日米大使刺傷事件による輸血後肝炎問題などを契機に,同年8月「献血の推進について」閣議決定がなされ,日本赤十字社(以下,日赤)による献血制度が本格的に始まった.この制度への移行によって,1968年にすべての輸血用血液が献血により賄えるようになると,肝炎ウイルスが発見されていない(検査法が確立されていない)この時代において約16%まで激減した.
日赤では1972年1月にB型肝炎ウイルス表面抗原(hepatitis B virus surface antigen,HBs抗原)検査を導入し,1978年4月には,より感度が高い逆受身赤血球凝集反応(reversed passive hemagglutination,RPHA)法に変更した.その結果,輸血後B型肝炎の発症率は5.5%から0.8%へ激減した2).
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