臨床医からの質問に答える
血小板機能検査を依頼する際に注意すべきこと
佐藤 金夫
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1山梨大学医学部臨床検査医学講座
pp.719-721
発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102879
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はじめに
血小板減少を認めない一時止血の異常では血小板機能異常症を疑い,血小板機能検査を行う.血小板の機能には粘着能,放出能,凝集能があり,それぞれの評価に対応した検査法が知られている1).そのなかでも血小板凝集能検査が機能検査の中心的位置を占めている.
血小板凝集能検査は出血性疾患の原因検索・診断に不可欠な検査法であり,また,最近では動脈血栓症の二次予防やステント血栓症の予防に処方される抗血小板薬の薬効評価や,血栓性疾患の評価に利用されている2).血小板凝集能検査には測定試料の違いにより二種類があり,遠心操作により血液から血小板を分離して多血小板血漿(platelet-rich plasma,PRP)を使用するPRP法と,全血をそのまま使用する全血法とがある.
前者には光透過性を利用した透過光法(吸光度法)や散乱光を利用した粒子計測法があり,後者には吸引圧の変化を利用したSFP(screen filtration pressure)法を原理とした装置がある.多くの検査室では透過光法を原理とする装置で血小板凝集能検査を実施していると思われるので,本稿ではこちらの原理を使った方法を中心に,検査依頼の際の注意点を述べたい.粘着能や放出能などの機能検査法については同様のタイトルで以前に紹介されているのでそちらを参照いただきたい3).
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