Laboratory Practice 〈一般〉
自動血球分析装置を用いた髄液細胞の解析
奈良 豊
1
1埼玉医科大学総合医療センター中央検査部
pp.838-843
発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102533
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はじめに
髄液一般検査はMRIやCTなどの画像診断が目覚ましく発展を遂げた現在でも欠くことのできない検査であり,特に細胞検査は急速な治療を要する中枢神経疾患の診断や治療経過観察のため重要である.現在の細胞検査法はマイクロピペットを用いてサムソン液で希釈し,フックス・ローゼンタール(Fuchs-Rosenthal)計算盤による目視法で行うことが推奨されている1).だが,計算盤上での細胞はフクシン色素の単染色であり,また,ボール状の形状で計算盤に沈んでいる状態にある.これを顕微鏡で観察すると細胞の観察方向によっては多核球の核の形状が単核球に見えることがあり,精度の高い技術が必要となる.さらに中枢神経感染症の早期診断に必要不可欠な検査であるため,緊急性が非常に高く,当直を行う専門外の技師にとっては大きな負担であり,また,施設によって測定方法が統一されていないなどの理由から自動化が望まれていた2,3).これらの背景を受けて各社より髄液および体液の細胞測定が可能な自動血球分析装置が開発されている.
本稿ではシーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス社の自動血球計数装置ADVIA(R)120のオプション機能として開発された髄液細胞自動測定法4)の性能と目視法との評価について述べてみたい(後継機種として同測定を標準装備したADVIA(R)2120も発売されている).
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