Laboratory Practice 〈病理〉
病理診断室におけるホルマリン対策
谷山 清己
1,2
,
清水 秀樹
2,3
,
根本 則道
4,5
1国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床研究部
2日本病理学会剖検・病理技術委員会
3日本医科大学千葉北総病院病理部
4日本大学医学部病態学病理学分野
5日本病理学会医療業務委員会
pp.1437-1441
発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102325
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はじめに
「平成18年度化学物質による労働者の健康障害防止にかかわるリスク評価検討会(厚生労働省2007年3月)」において,ホルムアルデヒド(formaldehyde,FA)を使用する職種の労働環境調査が行われた.その結果,FAに関係する政省令の一部改正が行われ(「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令」2007年政令375号),FAは,特定化学物質第3類物質から第2類物質に変更された(表1).それに伴いFAの管理濃度0.1ppmが設定された(2008年3月1日施行).また,2008年5月31日以降では,FAに関する装置の設置・移転・変更計画は,予定日の30日以上前に所轄労働基準監督署長への届け出が必要となった1).
これらの規制は,FAを大量(500kg以上)に扱う事業所を調査したうえで設定されたが,対象施設は,FAの扱い量にかかわらない.実際の適応は2009年3月1日以降のことが多いので1),2008年夏現在(執筆時)では,多くの医療現場が対応に追われている.
日本病理学会剖検・病理技術委員会と同医療業務委員会は,FAの健康障害防止について,医療機関と病理部門別に対応をまとめて日本病理学会ホームページに公開した2,3).筆者は,剖検・病理技術委員長として厚生労働省労働基準局内検討会(2008年7月22日)に出席して,医療現場におけるホルマリン対策の現状報告と提言を行った.本稿では,それらの内容を紹介し,ホルマリン規制に対する対応を解説する.
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