技術講座 免疫血清
温式自己抗体を保有する患者のための不規則抗体検査と赤血球輸血
安田 広康
1
,
大戸 斉
1
1福島県立医科大学附属病院 輸血・移植免疫部
pp.1413-1419
発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102316
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新しい知見
不規則抗体検査では,温式自己抗体による汎凝集のため同種抗体による反応が隠されてしまうことがある.温式自己抗体を保有している患者では,あらかじめ患者(自己)赤血球や抗原既知の同種赤血球で温式自己抗体を吸着・除去した患者血清(血漿)を検査に用いなければならない.非溶血性の温式自己抗体のみを保有する患者には適合血の選択は不要である.非溶血性の温式自己抗体と同種抗体を保有する患者に対しては,同種抗体に対する抗原陰性の赤血球を選択し輸血する.溶血性の自己抗体を保有する自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia,AIHA)の患者では,ステロイドによる治療効果を待ち,赤血球輸血はできるだけ回避する.貧血が進行し,やむを得ず輸血する場合には,可能な限り患者と主要抗原が一致した赤血球輸血が望ましい.
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