Laboratory Practice 〈生化学〉
日臨技の臨床検査データ共有化への取り組みについて
森下 芳孝
1
1名古屋大学医学部附属病院医療技術部
pp.56-58
発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101974
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はじめに
近年,糖尿病や高脂血症といった生活習慣病,また心筋梗塞や脳卒中のような動脈硬化性疾患などがマスコミなどで大きく報道され,健康や疾病予防,そして,指標である臨床検査値に対する国民の関心は高まりつつある.大学病院のような特定機能病院で得られた検査値も,小さな診療所で得られた検査値も,同じ患者の検体であればいかなる成分も同じ値になるものと国民は考えている.至極当然といえばそうかもしれない.真値は一つであるが,腫瘍マーカーや内分泌物質のように,測定法や測定条件によってどうしても測定値が異なるものもある.しかし,血糖,尿酸,コレステロール,ALT(alanine aminotransferase)のように正確さのトレーサビリティー連鎖体系が確保された項目では,それに従った標準物質や標準化対応法を各検査室が用いれば,不確かさを含む範囲内でデータの共有化は可能になるはずである.データの共有化が進めば,従来のように病院を変わるたびに行われていた無駄な重複検査はなくなり,医療費の削減にもつながる.
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