失敗から学び磨く検査技術―臨床化学編
血清鉄と検査時において留意すべきポイント―血清鉄検査の検体は日内変動を考慮して採血
刈米 和子
1
1(財)東京都保健医療公社荏原病院検査科
pp.42-46
発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101971
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体内鉄の分布と動態
体内の鉄の総量は約4,000mgといわれており,図1に示すように約2/3は赤血球中にヘモグロビンとして,1/3は肝細胞内や肝・脾の網内系細胞内に貯蔵鉄(フェリチンとヘモジデリン)として,約4%が筋肉内にミオグロビンとして存在する.いわゆる血清鉄は体内の鉄の0.1%にすぎず,血漿フェリチンとして存在する鉄の量はさらに少ない.
血清鉄はβ1グロブリン分画に属するトランスフェリン(transferrin,Tf)と結合した状態で存在している.
貯蔵鉄プールから動員された鉄はTfと結合して血清鉄となり,血清中を流れて骨髄の赤芽球に摂られる.赤芽球は鉄を一つの材料として血色素を合成し,成熟して脱核して核のない赤血球となり,平均120日の寿命で崩壊する.崩壊した赤血球は細網細胞で結合して血清鉄として再び造血に用いられるか,貯蔵鉄プールへ入る.つまり,図2に示すように,血清鉄→骨髄→赤血球→貯蔵部→血清鉄の一方向に絶えず動いている1,2).
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