増刊号 メタボリックシンドローム健診検査技術マニュアル
総論
12. メタボリックシンドロームの診断基準
島本 和明
1
1札幌医科大学医学部内科学第2講座
pp.1102-1106
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101877
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はじめに
生活習慣が大きく関連する疾患である高血圧・肥満・糖尿病・脂質代謝異常は,それぞれ独立した動脈硬化性心血管疾患の危険因子であるが,互いに高頻度で合併し,Framingham研究1)やわが国の高脂血症患者で行われた日本脂質介入試験(Japan Lipid Intervention Trial,J-LIT)2)に示されるように複数の危険因子を有する対象では,より冠動脈疾患の危険度が高い.すなわち,高血圧・肥満・糖尿病・脂質代謝異常は動脈硬化性疾患の発症・進展の独立した危険因子であると同時に,互いに相乗的に危険因子としてかかわる.生活習慣の欧米化を反映した腹部肥満を基盤に,高血圧,糖尿病,脂質代謝異常が発症,重積し動脈硬化をさらに促進するとの考えがmultiple risk factor syndrome・インスリン抵抗性症候群とされてきたが,最近はメタボリックシンドロームの呼称が一般的となり,その病態としては,インスリン抵抗性と腹部肥満の役割が注目され,2005年4月には国際糖尿病連盟(International Diabetes Federation,IDF)3)とわが国の8学会からの新しい診断基準4)も提唱されている.
一方で,①国際的に提唱される他の診断基準との相違,特に腹部肥満必須の妥当性,②診断基準項目の診断基準値の相違,③診断基準の診療現場での位置づけ,④名称の妥当性,などの課題も提示されている.本稿ではメタボリックシンドロームの診断基準について,わが国の基準を中心に述べる.
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