私の一推し免疫染色
サイトケラチン7とサイトケラチン20の染色―大腸癌の卵巣転移と卵巣類内膜腺癌との鑑別に
清川 貴子
1
1東京慈恵会医科大学病理学講座
pp.664-665
発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101771
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卵巣悪性腫瘍として開腹手術される例の6~17%は他臓器を原発とする転移性卵巣腫瘍であり,卵巣は女性生殖器のなかでは最も転移を受けやすい1).転移性卵巣腫瘍の原発臓器は多岐にわたり,その頻度は時代や地域(国)における癌一般の構成により異なる.わが国では,従来胃を原発とするものが多いとされていたが,近年の大腸癌の増加に伴い,大腸を原発とする転移性卵巣腫瘍も稀ではなくなりつつある.
転移性卵巣腫瘍と原発性腫瘍とは治療や予後が異なるため,二者の鑑別は重要であるが,転移性卵巣腫瘍の診断における問題点として以下が挙げられる.
(1)転移巣である卵巣腫瘍が原発巣より先に発見されることがある,
(2)臨床的に卵巣原発と考えられていたものが術中・術後の病理診断時に初めて転移性を疑われることがある.
(3)病理学的に転移性と考えられても,原発巣の検索に困難を極め剖検によって初めて明らかになる例もある.
(4)病理学的に原発性卵巣腫瘍と類似した像を呈する例がある.
(5)転移巣の組織像から原発巣を特定することが難しいことがある.
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