病気のはなし
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
木村 理
1
1山形大学医学部器官機能統御学講座消化器・一般外科学分野(第一外科)
pp.324-328
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101670
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サマリー
膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary-mucinous neoplasia,IPMN)の特徴として,大量の粘液産生と,それによるVater乳頭部の開大および主膵管拡張,良好な予後などが挙げられる.男女比は2:1と男性に多く,平均年齢は男女ともに約65歳と高齢者に多く認められる.好発部位は膵頭部である.主膵管の拡張を主体とする主膵管型,膵管分枝の拡張を主体とする分枝型に大別される.分枝型に比較して主膵管型に悪性のものが多い.主要症状は上腹部痛,体重減少,易疲労感などであるが,症状のないものも比較的高頻度に認められる.分枝型の拡張分枝径30mm以上,壁在結節のある症例は悪性の頻度が増し,主膵管型とともに手術適応となる.粘液性囊胞腫瘍(mucinous cystic neoplasm,MCN)とは画像診断的あるいは肉眼的に鑑別するのがよい.IPMNは「ぶどうの房」,MCNは球形で厚い線維性被膜を有することから「夏みかん」と特徴づけられる.症例に合わせて最も適切な手術を選択する.IPMNはきちんとした手術をすれば治る可能性の高い疾患なので,縮小手術を行ったことによって腫瘍が再発し,患者を失うことは避けなくてはならない.
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