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樹状細胞(dendritic cell;DC)が病原体を取り込みこれをナイーブCD4+T細胞に提示することから免疫応答が開始される.したがって,DCは自然免疫と獲得免疫を橋渡しする重要な細胞である.最近,DCに抗原提示を受けた後,ナイーブCD4+T細胞がTH1とTH2のどちらに分化して細胞性免疫と体液性免疫を活性化するのかはDCにある程度依存することがわかってきた.DCは骨髄で誕生するが単一な細胞ではなく2つの異なる分化経路を経て誕生し組織に移動する.すなわち,骨髄系共通細胞(myeloid progenitor)から分化するミエロイド系樹状細胞(DC1)とリンパ系共通細胞(common lymphoid progenitor)から分化するリンパ球系樹状細胞(DC2)とがある.
DC1とDC2の活性化
骨髄系共通幹細胞と起源を同じくするランゲルハンス細胞(Langerhans cell),単球やマクロファージなどを活性化するサイトカインの1種である顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte-macrophage colony stimulating factor,GM-CNF)によってpre-DC1からDC1が活性化される.したがってDC1は単球やマクロファージの近縁の細胞属性を持ち,インターロイキン(interleukin;IL)-12を産生する.T細胞やB細胞と共通の前駆細胞であるリンパ系共通幹細胞を起源とするDC2がpre-DC2からの活性化はGM-CSFに依存しない.その活性化はGM-CSFではなくIL-3である.DC1と異なり,IL-12の産生はほとんどないがウイルスやある種の細菌を貪食することによって1型インターフェロン(interferon;IFN)-α/βを産生する.1型IFNは抗ウイルス活性が強いサイトカインなので,DC2はウイルス感染に際し最初の生体防衛として活躍する免疫細胞である(図1).
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