Laboratory Practice 血液:骨髄塗抹標本の見かた
FAB分類 [8]M6
大畑 雅彦
1
1静岡赤十字病院検査部第2課
pp.1208-1215
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101600
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図1-a,bに今回提示した症例の骨髄像を示す.上段(図1-a:弱拡大)は好塩基性赤芽球が目立ち,明らかな赤芽球の過形成像である.二核の赤芽球も散見される.下段(図1-b)には核と細胞質の成熟障害を示す赤芽球,いわゆる巨赤芽球様変化が見られる.さらに重要な所見は,アウエル小体(Auer body)を有した芽球(矢印)の存在である.
考えられる疾患
表1には赤芽球系細胞が著増し,さらに芽球成分の増多も観察される疾患を記した.鑑別ポイントとしては赤芽球系細胞の比率が最も重要であるが,本症例では全赤芽球の比率が86.6%認められた(表2).FAB分類では赤芽球系細胞が骨髄全有核細胞の50%以上の場合は,リンパ系,赤芽球系を除く細胞中(非赤芽球成分,non-erythroid cell;NEC)の骨髄芽球%を算定する.芽球比率が30%未満であればMDS(myelodisplastic syndrome,骨髄異形成症候群)に,30%以上であればM6(赤白血病)と定義される.今回提示した症例は,NECの比率が37.3%であり,さらに芽球にはアウエル小体が存在することより典型的なM6と診断される.FAB分類ではM6で増生する芽球は骨髄芽球とされており,今回示したアウエル小体を有した芽球はその典型ともいえる.
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