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検査部(室)(以降検査部と略す)の業務そして管理に直接かかわるようになってから8年が過ぎようとしている.昨年はいわゆる国立大学附属病院のマネジメント改革の提言の対応に追われるなかで,今までに経験したことのない挫折感と何ともやり切れない気分を味わった.それは提言の中で突きつけられた検査部に対する認識と評価によりもたらされたものである.その内容についてももちろん今もって承服し難いものであるが,とりわけ一番の衝撃は,身内少なくとも理解者と考えていた病院指導部の集まりから出されたということであった.この内容はやはり国立大学附属病院の検査部に限定されたものでなく,医療機関の指導部から現在のすべての検査部の在りように向けられたものとして捉える必要があるように思う.そのような観点から検査部の視点で,今後の進むべき方向について私見を述べてみたい.
検査部の業務の原点は,診療のニーズに即応した検査を迅速にしかも経済効率よく実施し,得られた良質の検査情報をまた迅速にしかもタイムリーに提供することによる診療支援である.このような基本的診療支援に加えて各々の診療施設の設立の目的や目標さらにその課せられた任務に応じた機能の分担が検査部にも求められるのは当然のことであろう.私の所属する地方国立大学附属病院の検査部を例にとれば,医師,臨床検査技師などを目指す学生を中心とした医療系各分野学生の臨床検査教育を担当するのは当然のことと考えて実践している.また,併存する検査領域を専門とする講座の教官や研究者と一体となって,特定機能病院としての高度先進医療を担う検査法の研究開発やその実践のための業務を行うことも極めて当たり前のこととして行っている.さらに地方にあっては地域医療の中核基幹病院として救急医療を担い,24時間の緊急検査体制などの構築も必須となる.このような観点からすると言葉は多少不穏当となるが,国立大学附属病院のマネジメント改革に関する提言ははなはだ不備で,国立大学附属病院検査部に特に求められている機能についての視点が全く欠落しているといわざるを得ない.
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