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自動分析装置,検査試薬およびシステムの性能向上により,迅速,診察前検査は日常的となり,外来診療ではその日の検査結果に基づく診療が定着してきた.迅速,正確なデータの提供は臨床検査の大きな目標の1つであり,まさにそれが実現したといえる.その意味でわれわれは新たな業務展開を進める時期と考えなくてはならない.今後も臨床検査は発展することは間違いないことはいずれもが認めているが,病院における検査部の存続は大変危ぶまれている.それは何故か,どう対処すべきか.診療との接点と自動分析装置担当技師の専門性から考えてみたい.
診療との接点
これまで検査室は文字どおり検査部内で検査データを提供することに専念してきた.そのため診療側からみると,わかり難く,いわゆるブラックボックスと捉えられている.これを解いていくには院内でさまざまな接点を持つことが重要と考えている.その基本的考えは診療の歯車となり,診療に欠かせない部門を目指すことである.その接点として当院臨床病理部では,①検査相談室(主に検体検査に対する)を設け,待たせない,検査データについては検査室が責任を持つ,苦情にはその場へ出向くなどの対応,②看護部との定例協議会で業務改善を図り,院内へのカンファレンス・各種委員会へも積極的に参加,③チーム医療としてIVH(intravenous hyperalimentation,経中心静脈高カロリー輸液療法),ICT(infection control team),糖尿病教育,乳腺カンファレンス,アレルギー談話会,病棟担当技師などの専門性を活かした活動,④情報の発信としてCPニュース,検査手引きの発行,などを実践している.このような多角的な接点の中で臨床検査技師として培ってきた,技術,知識,客観的評価能力といった専門性を発揮することが,評価と信頼を得るものと考える.
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