研究
螢光抗体を用いたインフルエンザBの迅速診断
海老沢 功
1
,
牧野 正顕
2
,
武内 安恵
3
1東大伝研内科
2茨城県衛生研究所
3国立予防衛生研究所
pp.833-836
発行日 1967年11月15日
Published Date 1967/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916258
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螢光抗体を用いるインフルエンザの迅速診断はLiuら1)2)3)の報告に始まり,オランダ4)5),日本6)〜10),チエッコスロバキア11)12)など各国の研究者により追試されその有効性が確認された。しかしこれらの実験は主としてA (A2)型インフルエンザにおけるものでB型インフルエンザに関する研究は少い1)4)5)7)。LiuはB型インフルエンザで26人中10人陽性(38%)という成績を出しており,B型インフルエンザにおける本法の有用性は未だ確立されていない。他方A2型インフルエンザではわれわれの行なつた実験3)6)9)10)で螢光抗体法所見が陽性で血清反応が有意の上昇を示さないという例がインフルエンザ流行中にかなり多く見られた。馬インフルエンザウイルス13)あるいはヒトのインフルエンザウイルス14)15)を人口的にヒトに経鼻感染させると2週後の血清では有意の抗体上昇を示さない例があると報告されているので,上記のA2型インフルエンザにおけるパラドックスな所見は必らずしも螢光抗体法の非特異性を示すものではないであろう。しかし螢光抗体法では特異性が最も大切であるからこの点についてはさらに検討する必要がある。
1966年1〜3月の間に東京とその近郊茨城県下におこったインフルエンザBの流行は以上の二つの残された問題について検討するよい機会であった。
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