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はじめに
血糖コントロール状態の把握は,糖尿病の治療,管理や合併症の予防において非常に重要である.特に近年厳格な血糖管理が望まれるようになり,ヘモグロビンA1c(hemoglobin A1c, HbA1c),グリコアルブミン(glycated albumin,GA),1,5-アンヒドログルシトール(1,5-anhydroglucitol,1,5-AG)などの血糖コントロール指標の検査が多用されるようになった.なかでもHbA1cはDCCT(diabetes control and complications trial)やUKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)をはじめ合併症予防のための多くのエビデンスが示されており,第一選択となっている.
HbA1cは赤血球寿命が約120日であることから,過去1~2か月の血糖コントロール状態を示す指標である.一方,GAは過去4週間,特に直近の2週間の血糖コントロール状態を反映する2)ことから,過去数週間の血糖コントロール状態を確認したい場合,例えば糖尿病治療開始時の治療効果の確認に有用と考えられている.治療開始時期は血糖値が大きく,急激に変化する場合が多く,HbA1cではすぐに変化を捉えることができない.一方GAは,血糖コントロール状態の変化を迅速にとらえ薬剤投与量の調整等に検査結果を生かすことができる(図1).
また,血糖値の変動が激しい場合,厳格な血糖コントロールを必要とする糖尿病妊婦の場合やHbA1cが正しく血糖値を反映しない症例(血液透析,肝障害,貧血,異常へモグロビン血症等)においても有用な指標と考えられている2).
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