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ユニバーサル・アンチコアグラント;臨床検査の将来像
巽 典之
1,4
,
近藤 弘
2
,
横田 正春
3
1大阪市立大学
2大東文化大学スポーツ・健康学科
3堺市衛生研究所
4四天王寺国際仏教大学
pp.892-896
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101016
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はじめに
現在,大学病院,大規模総合病院,臨床検査センターでは総合的検査システムを構築し,高品質の臨床検査を効率的に実施している1,2).臨床検査のシステム化は少量検体による迅速・高精度の多項目測定を可能にしているが,実際のところは主治医や患者からは採血量が多いとの不満の声が聞こえてくる.確かに血清や抗凝固血を用いて多項目同時測定できる項目は年々増え,必要とされる検体量は少なくて済むようになってきた.しかしながら多くの場合,臨床化学検査用,血液検査用,止血凝固検査用,血糖値用などの測定項目によって使用する検体や抗凝固剤の種類が異なることや,測定項目によっては院内検査用と外注検査用との両方の検体を必要とすることもあり,採血本数は以前に比べて減ったとは言い難い現状にある.もしも,1種類の抗凝固血でもってできる限り多くの臨床検査を実施できれば,採血量を著減させることが可能になり,特に緊急検査や採血が困難な小児の検査などでは迅速かつ患者への負担を軽減しつつ多くの検査情報を得られるようになる.そのことから本稿では多目的検査利用型汎用性抗凝固剤(universal anticoagulant,ユニバーサル・アンチコアグラント)に関する筆者らのこれまでの知見および文献的考察を述べるとともに,その将来性について考察する.
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