けんさ質問箱Q&A
筋弛緩薬は脳波に影響はなく,ABRには影響がある理由は?
山田 了士
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1岡山大学医学部歯学部附属病院精神神経科
pp.887-889
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101014
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脳波測定時に筋弛緩薬を投与して記録しました.医師によれば「脳波に影響はない」とのことでしたが,どういう作用機序で脳波に影響がないのでしょうか,教えてください.また,「ABR(auditory brain stem response,聴性脳幹反応)では影響がある」ともいわれました.この機序についても併せて教えてください.(東大阪市 K.F.生)
はじめに
まず結論から記しますと,一般的な理解では筋弛緩薬は脳波にもABRにもそれ自体に大きな影響はないと思います.
体に投与された薬物が脳の中の神経に作用するかどうかは,その薬物が血液脳関門を通過することができるかどうかにかかっています.血液脳関門とは,血管内血液に含まれる物質が容易に脳に入らないようにして,脳を有害な物質から守る機能をもっています.具体的には,脳の中を走る毛細血管の血管壁が密になっており,さらに血管の周りをグリア細胞が取り囲んでいて,血管からの物質の脳内への移行を防いでいるのです.一般に分子量が比較的大きいもの,また脂溶性が低くイオンになりやすいものは血液脳関門を通りにくいとされています.
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