検査じょうほう室 生理 心電図の読みかた・6
不整脈の読みかた その2―上室性頻脈
岸 良示
1
1聖マリアンナ医科大学循環器内科
pp.556-560
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100930
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正常な心臓では毎分50~100回,洞結節で電気的興奮が発生し,その興奮が心房,心室に伝わり心拍数50/分以上100/分未満となる.頻拍は心拍数100/分以上となるもので上室性頻脈はその原因が上室,すなわち心房あるいは房室結節にあるものをいう.正常な心臓でも運動や精神的興奮により,洞結節の電気的興奮の頻度が増し心拍数100/分以上となる.いわゆる洞性頻拍で上室性頻脈の一つといえる.安静時にこれがみられる場合,原因が何かを検索する必要がある.検査による緊張が原因であれば問題ないが,貧血,心不全,低酸素血症,甲状腺機能亢進症などが原因であることがある.
その他の上室性頻脈として心房細動,心房粗動,発作性上室頻拍,促進性房室接合部調律が挙げられ,いずれも上室に頻回の興奮発生の起源やリエントリの回路があるか,リエントリの回路に上室が含まれる.上室性頻拍は上室に頻拍の成因があり,心室興奮は房室結節,ヒス束(His bundle)を通って拡がることが多いため原則的にQRS幅は狭くなる.QRS幅が広くなるのはもともと,あるいは心拍依存性に脚伝導に異常がある場合と,頻拍の際の心室の興奮に副伝導路の順行伝導がかかわる場合とである.
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