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ビリルビンの測定 測定法によって直接ビリルビン測定値が異なる理由
眞重 文子
1
1東京大学医学部附属病院
pp.830-832
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100723
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[ビリルビンの生成]
赤血球の寿命は約120日とされていて,1秒間に約200~300万個の赤血球が崩壊している.この老化赤血球由来のヘモグロビンは,ビリルビン生成に供されるヘモグロビンの約70~80%を占め,残りの10~20%が無効造血由来である.これらのヘモグロビンは血中ではハプトグロビンと複合体を形成し,肝,腎,脾臓などの特定の細胞(細網内皮系)に取り込まれ,ビリベルジンを経て,ビリルビンに変換される(図1).このビリルビンを非抱合ビリルビンと呼び,1日約200~300mgが生成される.
[水溶性の置換基を持つ非抱合ビリルビンが水溶性でない理由]
非抱合ビリルビンは極性基(親水性)のイミノ基が4個,カルボキシル基が2個あるにもかかわらず水に極めて不溶である.それは,ビリルビンの分子内で極性基同士が水素結合してその極性を打ち消し合い,表面に疎水性の部分が出た立体構造をしているためである(図2).不溶性の非抱合ビリルビンはアルブミンと水素結合した形で血中に溶解し,肝に運ばれ肝細胞内に取り込まれる.
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