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病院は,医療者が病気を治療するところから,患者と医療者が協同して,健康を回復あるいは保持するところへと,変化してきている.かつて医療に対して受身であった患者は,インフォームドコンセントにより,自分で治療方針を決定するようになってきた.患者の多くは,時代の流れにとまどいながらも自分自身の健康を守ろうとし,溢れる情報の中から何かを掴もうと必死になっている.しかし,時代とともに患者を取り巻く環境が変化しても,検査が「病気の診断」や「治療方針の決定」「治療の評価」をするうえで,重要な役割を果たすという本質は,なんら変わることはない.
検査の選択・決定は,安全・安楽に検査が受けられるように,医師が患者の同意を得て行うものであるが,実施の段階では看護師が患者の精神的・身体的な面はもちろんのこと経済的な面も考慮して,調整している.入院する患者の多くは,今までと違った環境にとまどい,病気に対する不安や気持ちの動揺を感じており,医師に対する遠慮から,自分の思いが十分に伝えられない場合がある.医学の進歩がもたらした多くの検査は,病気の早期発見を可能にし,早期治療による病気の回復に貢献してきた.しかし,受ける立場に立てば検査が増えるということは,検査による拘束や苦痛なども,同時に増えるということである.決してそのことを忘れてはならない.患者の最も近くにいる看護師は,患者や家族から情報を集め,検査が適切に受けられるように,患者の代弁者となって,医師や臨床検査技師に情報を提供し,検査がスムーズに終了するように働きかけている.そのためには,医師・臨床検査技師・看護師のチームワークがとれていないと,患者は最良の状態で検査を受けることはできない.また,医療者側のみでなく,患者や家族も含めてコミュニケーションが円滑であることが重要になってくる.
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