連載 臨床医からの質問に答える
尿検体の保存方法について質問されたら
早川 美恵子
1
1慶應義塾大学病院中央臨床検査部
pp.446-448
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100421
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背 景
尿は痛みを伴わずに採取でき,多くの情報が得られるため,簡便な検査と思われがちである.しかし,採尿のタイミングや保存の方法を間違えると,検査結果に大きな影響を与える要因が非常に多い.にもかかわらず,検査結果から,保存状態の不備を推察することは難しい.一方,検査部が検体を受付けられる時間は限られているのが現状である.蓄尿が終了した時間には,検査室の受付時間を過ぎてしまって,提出できないこともしばしばある.また,外来患者さんには,自宅で蓄尿してきていただく機会も多く,採尿と保存とについて,いかに正確に説明できるかが検査の正確性を左右することになる.
検査室で,いくら厳しく分析機の精度管理を行っていたとしても,臨床での保存方法を誤ってしまった場合には,患者さんの症状を正しく反映する検査情報は得られないのである.たとえ分析した数値が再検値と等しい結果であったとしても,それは“正しい検査結果”とは言い難いのだということを,われわれは肝に銘じておかなければならない.
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