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臨床検査の標準化は日本臨床検査薬協会会員企業の業界や,日本臨床化学会など関連学会の努力で随分と進んできているけれども,いまだにどこの病院の臨床検査データでも,そのまま測定値を相互に比較できるという状態には至っていない.医療の標準化にとって臨床検査の標準化は整備しなければならない基本的な要因であり,臨床検査にかかわっているわれわれにとっては第一義的に取り組むべき課題である.幸いなことに,近年,臨床検査測定の標準化を推進しようという機運が,国内的にも国際的にも,急速に盛り上がっている.そのような状況を踏まえて日本臨床検査標準協議会(Japan Committee for Clinical Laboratory Standard,JCCLS)では臨床検査標準化基本検討委員会を立ち上げ,あと一押しでできる状況になっている臨床検査の標準化を軌道にのせる活動を開始した.ここでは,その活動内容について概略を紹介させていただきたい.
臨床検査標準化の重要性は疑う余地のないものであり,国内的には医師会や技師会をはじめさまざまな組織で試みられてきた.特に,福岡県では初期診療に必須の検査項目に限られてはいるが,人口500万人の県内全域で共通の基準範囲を利用し,測定値の施設間較差も非常に狭い範囲に維持できている状態が過去10年間にわたって続けられている1,2).福岡県に近い状況の自治体も複数あり,このような活動を連動させることで国内のどこの病院の臨床検査データでも,相互比較ができる状態を完成させることが可能になる.JCCLS臨床検査標準化基本検討委員会の大きな目標の一つは,このような各地域の活動を促進させ国内での施設間較差を是正することにある.
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