特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査
10 先天性脂質代謝異常
1.先天性アポ蛋白異常症—3)アポE異常
山本 章
1
Akira YAMAMOTO
1
1国立循環器病センター研究所病因部
pp.1500-1506
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917567
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アポE異常とⅢ型高リポ蛋白血症その研究の展開
アポリポ蛋白E(アポE)に関する研究は,病態面での観察と生理・生化学的追究が常にシーソーゲームをしながら発展してきた点できわめて興味深い.
1967年Fredricksonらが血漿リポ蛋白の電気泳動パターンによって高脂血症(高リポ蛋白血症)をI型からV型に分類した際,LDL(βリポ蛋白)とVLDL(preβリポ蛋白)の間がどうしてもはっきりした谷間で分かれない例があり,このような血漿から超遠心で分離したVLDL分画を電気泳動にかけるとまともな位置よりずっとβ寄りに泳動されること,そしてそのようなVLDL分画は異常にコレステロールに富むことを見いだし,このようなケースをIII型高リポ蛋白血症として位置づけた.この種の高脂血症はその特異な電気泳動パターンからbroadβ病とも,またdysbetalipoproteinemiaとも呼ばれる.
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