特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査
10 先天性脂質代謝異常
1.先天性アポ蛋白異常症—2)アポB異常症
油谷 浩幸
1
Hiroyuki ABURATANI
1
1東京大学医学部第三内科
pp.1496-1499
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917566
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
アポB代謝の概要
アポリポ蛋白B (アポB)は,リポ蛋白の合成・異化に必須の蛋白で,血中のコレステロール輸送の制御に重要である.すなわち,カイロミクロン,VLDL (verylow density lipoprotein:超低比重リポ蛋白),LDL(low-density lipoprotein;低比重リポ蛋白)などを構成する主要な蛋白であるとともに,細胞表面のリポ蛋白受容体の認識蛋白としての機能を有している.LDL受容体欠損症(家族性高コレステロール血症)患者では血中アポB濃度が3〜5倍に増加し,動脈硬化性疾患の著しい進展をみるところから,atherogenic peptide(動脈硬化惹起性蛋白)としての特徴を有すると考えられている.
アポBには肝由来B (アポB100)と小腸由来B(B48)の2種が存在し1),異なった代謝経路を示す(図1).小腸で吸収された脂質はカイロミクロンとしてB48とともに血中に放出され,トリグリセライドの水解を受けた後,レムナントとして速やかに肝に取り込まれる.一方,肝で合成分泌されるVLDLはB100を有しており,血中でLDLに転換され,末梢組織のLDL受容体を介して異化される.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.