特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査
4 リポ蛋白
4.沈殿法によるリポ蛋白分画法—2)HDL-コレステロール
野間 昭夫
1
Akio NOMA
1
1東京都養育院附属病院研究検査部
pp.1359-1362
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917529
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測定法の概要
15年前にBurstein一派が沈殿法による血清リポ蛋白分画法を詳細に検討した1)が,その数年後に疫学的研究によってHDL-コレステロール(HDL-C)測定の重要性が認められた.それ以来,この方法は簡便なHDL分画法として広く用いられるようになってきた.最近では多くの検査室でHDL-C測定がルーチン化しており,昭和58年度日本医師会精度管理調査によると,全客体の90%以上の施設でHDL-C測定に参加し,その中の90%以上が沈殿法を用いていることがわかる.
リポ蛋白沈殿分画法はポリアニオンと二価陽イオンを加えた一定条件下で低比重系リポ蛋白を沈殿させて,その上清中のコレステロールを定量し,HDL-C濃度とするものである.このポリアニオンと二価陽イオンの組み合わせとして現在広く用いられているのは,ヘパリン-Mn2+,ヘパリン-Ca2+,デキストラン硫酸-Mg2+,リンタングステン酸-Mg2+であり,そのほかK-アガー,ポリエチレングリコールなども用いられている.先に日本臨床病理学会標準委員会で調査した結果2)も医師会サーベイの結果もほとんど同じであるが,わが国ではリンタングステン酸-Mg2+法が最も多く全体の約30%を占め,次いでデキストラン硫酸-Mg2+法(約23%),ヘパリン-Ca2+法(約20%),等電点沈殿法(約10%),ヘパリン-Mn2+法(約6%)と続いている.
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