特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査
4 リポ蛋白
4.沈殿法によるリポ蛋白分画法—1)分画沈殿法
佐々木 禎一
1
Teiichi SASAKI
1
1札幌医科大学附属病院検査診断部
pp.1353-1358
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917527
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はじめに
血清中の主要リポ蛋白を個々に定量したり,あるいは分画測定したりするための方法は,研究的には,①塩析法,②冷エタノール分画法,③超遠心法,④電気泳動法,⑤カラムクロマトグラフィー,⑥免疫学的方法,⑦複合体(コンプレックス)形成沈殿法,⑧ゲル濾過法,⑨光散乱比濁法(ネフェロメトリー),および⑩その他の方法,などと多くの方法を挙げることができる.
しかし,少なくとも臨床検査の目的に用いられてきたのは,電気泳動法が中心であり,その後免疫学的方法ならびに複合体形成沈殿法,あるいはネフェロメトリーの利用も増加してきたといえよう.現在,血清中のアポリポ蛋白の種類が,免疫血清を利用してより詳細に分類され,測定されるようになってきたが,多数の血清検体について主なリポ蛋白を化学的に分析する場合には,自動化測定も重要なポイントとなり,複合体形成沈殿法がより一般的であろう.この方法の主流はヘパリン/Ca2+法のようなポリアニオン(polyanion;多価陰イオン)と血清中リポ蛋白との複合体の形成を基盤とする方法である.
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