資料
市販キットによるアデノシンデアミナーゼ(AD)の測定;—基礎的検討
寺内 一三
1
,
飯塚 誠一
1
,
斎藤 裕美
1
,
内山 秀雄
1
,
岡田 正
1
,
上野 幸久
2
1健康保険総合川崎中央病院検査科
2健康保険総合川崎中央病院内科
pp.969-972
発行日 1985年8月15日
Published Date 1985/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917498
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
アデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminase[EC 3.5.4.4];AD)は,プリン代謝経路にあってアデノシンのアミノ基を加水分解して,イノシンとアンモニアを生ずる反応を触媒する酵素である.ADの研究は,Schmidt1)(1932年)に始まる.現在,ヒト組織のAD活性分布については脾および腸管粘膜,肺,腎,肝など多くの組織に分布し2),細胞レベルでは細胞質に多く核にわずかに存在する3)と報告されている.臨床的意義についても,悪性腫瘍,白血病,腸チフス,肝疾患,結核性胸膜炎(胸水中AD)などでの活性上昇が3〜6),重症免疫不全症候群では赤血球中ADの欠損が報告されている7).しかし,多くの臨床的意義が報告されているにもかかわらず,ADは一般的に測定されていない.ADの測定法は,①イノシンの増加量(アデノシンの減少量)を紫外部にて測光する方法,②アンモニアの生成量を測定する方法が知れている8).
わが国においては,1962年に服部と松尾5)がアデノシンの減少を測定する方法で悪性腫瘍での血清中ADを測定しているが,これは除蛋白操作を必要とするものであった.近年,定量法の進歩に伴い,ADの測定についても除蛋白操作を必要としない方法としてインドフェノール法を利用する方法,NADHまたはNADPHを利用する方法およびPNPとXODを利用する方法が報告されている.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.