シリーズ・先天性遺伝性疾患の診断に役だつ検査・8
遺伝性血漿蛋白異常症
藪内 百治
1
Hyakuji YABUUCHI
1
1大阪大学医学部小児科学教室
pp.932-938
発行日 1985年8月15日
Published Date 1985/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917492
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はじめに
血漿蛋白は血漿に含まれる多種類の蛋白成分の総称であり,電気泳動法によって電位の異なる蛋白を分画すれば,アルブミン,α1—可グロブリン,α2—グロブリン,β—グロブリン,γ—グロブリンに分けられる.このようにして分けられた分画も単一の蛋白より成るのではなく,ごく微量の成分まで数えればそれぞれの分画に百種類以上の蛋白成分が含まれている.このような蛋白成分は,血管内水分調節,物質の輸送,免疫などの重要な生理機能を持っているが,きわめて微量で重要な生物活性を示すものもある.そしてこれらの蛋白はそれぞれ単一の遺伝子によって産生が制御されており,遺伝子に何らかの異常が起これば,特定の蛋白の量的あるいは質的な異常をきたし,その結果として種々の遺伝性血漿蛋白異常症を発症する.主な遺伝性血漿蛋白異常症としては表1のような疾患があげられるが,これらのほかに凝固因子の異常症,補体の欠乏症などがある.本稿ではγ—グロブリンの異常,すなわち免疫グロブリン欠乏症,凝固因子欠損症,および補体欠損症以外の遺伝性血漿蛋白異常症について述べる.
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