特集 臨床生理検査と採血
II.採血
血清の保存
西風 脩
1
,
市田 篤郎
1
1北大・生化学
pp.170-173
発行日 1971年2月15日
Published Date 1971/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917300
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
検査成績の迅速な報告と,血清成分の変化を避けるために,分離した血清はただちに測定に用いるべきであるが,再検査が必要となる場合,精度管理のために同一検査をくり返し用いる必要のある場合,特殊な検査で毎日実施していないもの,あるいは他の施設に分析を依頼するような場合には,血清を保存する必要が起こってくる.
これらの場合,特殊な例外を除いては,血清または血漿を分離したのちに保存するのが普通であり,そのまま凍結すればグリセロールなどで特殊な処理でもしないかぎり血球は破壊されるから,血球成分を含めて検査するのでなければ,分離せずに凍結保存することはありえない.4℃程度でも血球成分の溶出(カリウムなどはむしろ低温のほうが溶出量は大となる)と血清成分の変化が起こるから,血清は必ずすみやかに分離したのちに,別の清浄な試験管に移し,密栓して保存する(パラフィルムで口を気密におおうのが便利である.ただし凍結の限にはパラフィルムは器壁よりはがれやすく,取り扱いに注意が必要である.またパラフィルムは有機溶剤に溶けることに注意する).冷蔵庫内ではもちろん,凍結させていても水分の蒸発と,それによるサンプルの濃縮が起こるし,満員の冷蔵庫内でサンプルをひっくり返したり,他のものによる汚染を起こしたりすることがあるので,注意して気密に栓を施すべきであり,綿栓などのまま長期保存すべきではない.
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.