技術解説
染色体検査法—標本作成法と診断的意義
大石 英恒
1
1国立遺伝学研究所人類遺伝部
pp.22-28
発行日 1967年1月15日
Published Date 1967/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917077
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はじめに
染色体検査が臨床医学の分野で重要視されるようになったのはごく最近のことである。これまで漠然と遺伝子の突然変異によるもの,あるいは遺伝学上不可解な現象とみなされていた先天異常のなかから,1959年,染色体異常に起因する疾患がFordら(Turner症候群),JacobsとStrong(Klinefelter症候群),およびLejeuneら(Down症候群)によって次々と確認された。それ以来,人間の染色体異常に関する研究はきわめて活発に行なわれるようになり,多くの論文が公表されるにしたがって,発見された染色体異常の種類もモザイクを含めるとすでに100に近い。しかし現時点において,染色体異常と臨床像との対応関係が明らかなものを整理してみると,常染色体としてはDown症候群,DとEトリソミー症候群,および"ネコなき"(Cri du chat)症候群の4つの疾患が挙げられ,性染色体としてはTurner症候群,Klinefelter症候群,およびXXX個体の3つに集約される。
これら7つの疾患がそれぞれ特有な染色体異常に原因することはすでに多くの研究者によって確認され,もはや疑いの余地はないと思われる。
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