特集 血液検査の問題点
6 ヘマトクリット測定の問題点
日野 志郎
1
1東京逓信病院内科部
pp.886-889
発行日 1968年12月1日
Published Date 1968/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916541
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わが国では一般に,血液中に占める赤血球の量をヘマトクリットとよんでいるようであるが,Wintrobeの教科書17)ではヘマトクリット管を指しているようだし,Dorlandの辞書にはそれに使う遠心機だと書いてある。de Boroviczeny2)によると,スエーデンで牛乳の脂肪量を遠心法で測り,lactocritとよんでいたのにならい,遠心法で赤血球量を測るのをヘマトクリットと言い始めたという。しかしDorlandによると,クリットというのは,judgeあるいはseparateに相当するギリシャ語に由来するもので,遠心という操作に関する限りでは,英語での別称packed cellvolumeと差がないように思われる。
ともあれ,血液中の赤血球量をヘマトクリットとよぶことにして,これを遠心法で測定するのが今日もっとも一般的である。Wintrobe管で行なうと,非常に再現性のよいことがわかり,すぐれた方法であると推賞されたが,広く使われるに及んで,問題点がいくつか浮かんできたばかりでなく,簡便な毛細管法の普及につれてますます混乱が生じたかにみえる。
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