入門講座 生理
内分泌機能検査Ⅰ
井林 博
1
1東京大学医学部中尾内科
pp.198-199
発行日 1968年3月15日
Published Date 1968/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916370
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに:生体はその内部環境をつねに一定の状態になるべく保とうとする機構が存在し,例えばわれわれの血液中の糖,蛋白,脂質,Na, Kなどの塩類や水分などは互に調和された一定のレベルにおかれるように,たえず巧みな生体の智恵(wisdom of body)が働いています。この機構はホメオスタージス(homeostasis)とよばれていますが,このhomeostasisをコントロールする生体の智恵の正体は色々な内分泌腺から分泌されるホルモン(hormone)であります。
内分泌機能検査の方法は体液中(血液又は尿)のホルモンそのものを直接に生物学的方法(bioassay)又は化学的方法(chemical assay,最近は免疫化学的方法によるimmunoassayも開発されて来ております)によって測定する手段のほか,下垂体前葉ホルモンのようにその作用の末梢標的内分泌腺(target g1ands)の機能検査から間接的にその機能の異常状態をうかがう方法,更にホルモン固有の生理作用を応用して間接的にホルモン分泌異常の有無を検査する方法に分けられます。一般に内分泌機能の検査は技術的に若干操作の煩雑なものも少なくなく,又内分泌腺の機能は相互に,あるいは他の非内分泌臓器(特にホルモンを不活性化する肝など)の機能とも密接な関連をもっていますのでその機能検査成績の判定にはとくに綜合的な考え方と解析が必要になってきます。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.