巻頭言
病院臨床検査部のあり方
吉田 幸雄
1
1厚生省病院管理研究所
pp.13-16
発行日 1968年1月15日
Published Date 1968/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916315
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現今では,わが国のほとんどの病院に臨床検査部が独立し,活発な活動をするようになったことは喜ばしいことである。昭和24年に病院管理研修所が発足した当時と比較するならば,文字どおり隔世の感ありといわねばならない。その当時,臨床検査業務の中央化,機能組織化の必要性が説かれたが,それに対して多くの病院長は大きな抵抗を示したものである。検査は臨床医師自身が検査するのでなければ診断を誤まると信じていた。永年の慣習というものは恐ろしいものである。もちろん当時は,信頼に足る検査技師が少なったことなどから,そう信じなければならない当時の状況であったかも知れない。しかし少くとも病院では明治時代から医薬分業が行なわれていたにかかわらず一般には医薬分業に根強い抵抗のあることと共通の医師心理が作用していたことも見逃がせないことであったろう。少くとも問題は検査業務が分業された際,その検査結果が,臨床医みずからが行なうと同様の成績がえられるという信頼に足る保証がえられるかどうかということが,この問題解決のポイントであった。
この状況を打開するために,まず信頼に足る臨床検査技師の養成がなされねばならないということで,橋本寛敏先生と守屋博先生等が中心となり,聖路加病院と国立東京第一病院の臨床検査部が協力し,中野の学校が発足したことは時宜に適した壮挙であった。が然その反響は著しく,卒業生のうばい合いを呈するようになったことは御承知の通りである。
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