特集 簡易臨床検査法
胃液
胃液検査法
正宗 研
1
1東北大学医学部山形内科
pp.887-891
発行日 1967年12月5日
Published Date 1967/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916269
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胃液検査法の歴史と無胃管胃液検査法の種類
従来,胃液検査を行なうには,胃ソンデを胃内に挿入し,採取した胃液について直接その酸度を測定してきた。しかし,その方法は胃ソンデをのむことが患者にかなり苦痛であるため,神経質な人や,老人,幼若者には挿入因難であり,また重症の食道,胃疾患には禁忌である。また,近年胃癌の早期発見の目的で集団検診に胃液検査が行なわれているが,この場合には胃管法は時間的,労力的に不適当である。さらに技術的にも困難なため,これに代る簡単かつ確実な胃液検査法の考案が望まれていた。
1950年,Segalらは始めてイオン交換樹脂にキニーネを結合させた陽イオン交換樹脂を被検者に内服せしめ,尿中に排泄されたキニーネ量を測定して,間接的に胃内遊離塩酸量を測定するキニーネ樹脂法の考案により,無胃管胃液検査法が実用化し,臨床的に応用して好成績を収めた。しかし,その検査法はなお,その操作が繁雑であり,かつ螢光比色法による尿中キニーネを定量するために高価な装置を必要とし,広く普及するにいたらなかった。
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