講座 検査技術者のための臨床病理学講座9
臨床化学検査(1)—血糖検査とその臨床
林 康之
1
1順天堂大学医学部臨床病理学教室
pp.143-145
発行日 1965年2月15日
Published Date 1965/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915719
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
まえおき
われわれの体内では個体を維持するために,バランスを保ちながら次々と物質の転換が行なわれ,利用すべきものは利用し余剰物質,不要物質は排泄するということが絶えず行なわれている。その諸物質の転換は主として細胞内で行なわれ,細胞への酸素や基質となる物質の供給と,反応生成物の運搬は血液,リンパ液などの体液によっている。それ故,体液成分は細胞あるいは臓器組織の機能をそのまま反映した組成(質的にも量的にも)をもち,化学的に分析することでその個体のもつ機能をある程度知ることができる。これが臨床化学検査で,体液成分の検査といってしまえばひとことで,かんたんな印象を与えるが,すべての臓器組織の機能と摂取した食物その他の影響が綜合された結果が体液諸成分としてあらわれることを考えれば,医師にとって最も成績判断のむづかしい検査種目であるといえる。
このような現在の段階では,医師は臨床化学検査成績を総括的にみて次のような判断のしかたを採っている。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.